どうしてスクリプティングは普及しないのか。2
by buruge ~ 2月 14th, 2008. Filed under: DTP.前回の続きです。
PAGE2008コンファレンス「DTPに求められる機能と効果的な利用~DTPとスクリプト活用~」に参加してきましたよって話ね。
■まずInDesignを使いこなせてるかどうか。
で、どうしてこんな便利な機能があんまり使われてないのかというところ。
まず、InDesignをQuark等の今までの組版ソフトとしての意識しかないっていうことから始まるみたい。
今までが今までだったので、まあ使い慣れたソフトの感覚で利用したいなって思うのは分かる気はするけど、そのせいでInDesignオリジナルの便利な機能が結構な割合でなおざりになってるんじゃないかなー。
(もちろんQuarkにもInDesignにない便利な機能が沢山あるんだと、思う。触った時期がホント1年くらいなのでなんとも言えないのですが…。しかもVer3.3。)
って、これってスクリプト以前の問題じゃん。
他の機能見てないならスクリプト機能も見えないわな。かくゆう自分も全部知りません。触るたびに、バージョンが上がるたびに、いろいろできるようになってるから正直着いていけてないのが現状…いかん。
■今までプログラムと関わる機会がない。
それじゃあ、スクリプト機能を知っていたとして、どうして使わないのかと。
これはせうぞーさんが、プログラミングに対する免疫という意味合い(そういうことだと受け取った)で、WEBと比較して説明してくださいました。
WEBはもともとがHTMLのコーディングが基本としてあるわけで、そこから、デザインなりFlashなりCSSなりとやらなければならい事が増 えていくにしたがって、デザインを考える人とコードを組んでいく人が別れたりなんなりしているから、多少プログラムちっくなことにも抵抗がない、と。
逆にDTPは昔からプログラムと関わる機会がなかったから、それを受け入れる土壌がない。加えて、業界の体質的に単純作業の連続の元に生まれる残 業地獄もやっちゃう苦労が好きなドMさんが多いので、そもそもスクリプト使う気がない。IT化が進んでいる中で、なかなかシステムに対する危機感がないの が原因かもーってことを言っていました。
コーディングとスクリプティングは違うんだろうけど、たぶんコードを組むことでできあがるWEB画の想像できる人なら、スクリプトで動作して組ま れる組版データの想像も容易なんだろうなあ。だからどんどんWEB系のシステム系「最近DTPもはじめました☆」な会社に仕事とられちゃうんだ。
■スクリプトとDTPは結びつきづらい。
山崎さんが曰く、スクリプトはあくまでプログラムであってDTPではないので、DTPを今までやってきた人がその直接的な延長線上のものとしてスクリプトを習得するという流れにはなりづらいということ。
別のものを新たにはじめる感覚っていうのは、なんとなく分かる気はする。
1年半くらいしか組版やってませんが、そっからスクリプトはじめた時、確かにそういう感覚だったと思う。(でも、今となってはDTPと結びついてるけどなあ。)
で、逆にプログラムしか分からない人がDTP用のスクリプト書くことになっても、DTP作業を知らないからどこらへんが大変で、どこを工夫したら作業が最短距離になるのかが分からないっていう問題もある。
だから山崎さんは、大事なのはスクリプトを書く人が、DTPからの人であれ、スクリプト開発言語知識を持っている人であれ、相互理解がなければうまくいかないということを言われてました。
そこにマッチする人って確かに少ないのかもしれないです。
DTP知識があって、スクリプトにも抵抗が無い、というのが初期値として必要なのであれば、絶対数は減ってくるのか。
でも、これって結局「スクリプトへの抵抗」さえ崩せば大丈夫だと思うんだけどなあ。
とか簡単に言っちゃったけど、これが難しいんですよねきっと。
■馴染んでもらうこと。
またmixiで僕の投稿にコメントをいただいた偽善者こうちゃんさんのお話を読んでて思ったのが、スクリプトを敬遠する人がスクリプトを「自分じゃできないすごい技術」と思い込んでるっぽいこと。
なんかもうこの思い込みの段階で大きな壁があるし、大規模な自動化が難しいことで「結局スクなんちゃらでもできないんじゃん」とか思われてそうな気がする。
前回の話でも出たけどホント、細かい部分でも「ちょっと便利かも」ってところでスクリプトの利用を促していかないといけないんですね。
それに、もっと有効性の説明と提案のできるディレクション力を僕つけないといけない。
なんかスクリプトがどんな風に活用できるのかっていうのをうまく説明できないのがはがゆい。
動くスクリプトを見せるのが一番説得力あるけど、そこまで興味をひきつけるのに苦労するのです。
ただまあスクリプトの説明に関しては、せうぞーさんの資料でだいぶ補完できたので活用させてもらうことにします。すごい分かりやすい。
で、さらにもう一段階、書いてみようかなーって思わせるためには。
これは大里さんの話を聞いていて「なるほど」と思ったんだけど、大里さんの会社で利用されているスクリプトは数値等を入力するダイアログを使っていないっぽいです。
というのも、大里さんからは「スクリプトエディタで開いて、数字だけ書き換えたり…」という話はあるものの、数値をダイアログ等で入力を促すスクリプトが使われている話がまったく出てきませんでした。
スクリプトを書いてるのは別の人で、大里さんが利用する際、そのDTP作業に適する数値をエディタで直で打ち込むっていう形をとっているみたいなんです。あえてそうしてるのかどうかは分かりません。
ただ、スクリプトの初期値の宣言が集合してる場所の数字を打ち変えてるだけだろうけど、スクリプトに直接手を加えるという行為でスクリプトそのものへの抵抗も薄らぐのではないかと思うんですわ。
「自分で打ち込んだ数値の通り動作する。」って、なんか少しだけ自分でプログラム改造したみたいな感覚になりそうな気がする。(昔、BBSとかのCGI落として設置したときとかそうだった。)
大里さん自身「今では使えるかどうかは別として簡単なスクリプトなら自分でも作れます」と言われていたので、そういう方法もありなのかなーと、感じた次第です。
まあ、スクリプト書くところまでっていうのは流石にアレですが、たぶん単純に、皆詳しく知らないだけなんですよね。
もっとアピらないといけないのかぁ。
2月 15th, 2008 at 0:37:46
スクリプトで自動処理できれば“ラク”だろうけど、そんな“ラク”のためにシンドイ思いをするのはイヤ、誰かが作ってくれればモチロン使う、というスタンスのDTPオペレータが多いのではないでしょうか。
DTPオペレータは、必要なものがデスクトップに用意されているのが当たり前だと思ってますから。
また、DTPを知っていながら、DTPオペレーションには不充分なスクリプトでとどまって、本来目指したものを安易に諦めてしまうようなスクリプターが増えるのもいかがなものかと。
「いや、ホントはそこまでやりたかったんですけど…」みたいな。
とにかく“スクリプトを書く”ことが目的になってしまい、本来の目的からそれるケースも出てくると思いますよ(既にあるかもしれませんが)。
2月 15th, 2008 at 18:38:03
>スクリプター1号さん
コメントありがとうございます。
>デスクトップに用意されているのが当たり前
ここで意識に高いハードルがありますね。
新しいシンドイことをするよりも、今まで慣れているシンドイことをする方が、”ラク”だと考えてしまう、と。
あくまでアプリケーションを利用して作業をする「オペレータ」というこれまでの立場から考えると、わりと当然の意識なのかもしれないです。
ただ、スクリプト云々に関わらずとも、既存の機能も使っていなかったりするスタンスのままだと今後先がないような気がするんですよねえ…。
>本来の目的からそれる
確かに、意識があまりにスクリプトに寄ってしまっては本末転倒になりかねませんね。
そこは見極めが難しいとこだと思います。
実際、スクリプトを書いてる時間よりも、単純にコピペ作業した方が早く完了してしまう場合もあると思うのでそこら辺の線引きも重要なのかなと。
書かないにしても、せめて「こういう場面でどうにかならないかな」というような発想ができてくれば良いような気もします。
あとはそれを聞いて書ける人が書くとか(これだとスクリプターに負担がかかるばかりですが)、既存であれば利用するとか。
とにかく、まずは利用する意識が生まれることだと思いますので。